コラム

管理会社を変更したい!不動産管理 2016.09.15

「管理会社を変更したい」というご相談を受けることが良くあります。そこで、ここでは、管理会社を変更するための手続きについてご説明いたします。

1 そもそも管理会社って?

一口に「管理会社」といっても、実は、「何を」管理している会社なのかによって、実態は異なります。

不動産に関する「管理会社」は、社会通念上、大きく分けると、「マンション管理会社」と「賃貸運営管理会社」の2つがありです。

マンション管理会社とは、「マンション管理の適正化の推進に関する法律」第44条の登録を受けて、マンション管理業を営む者のことを指します。また、マンション管理業とは、管理組合から委託を受けて、管理業務を業として行うもの、とされています。すなわち、マンション管理組合から委託を受けて、マンション管理を行う会社が、マンション管理会社ということになります。分譲マンションを所有し、そこに居住している方にとって、なじみのある「管理会社」はこちらの「マンション管理会社」であることと思います。

他方、「賃貸運営管理会社」は、貸主からの委託を受けて、賃貸不動産の維持・管理、賃料の収受、借主との交渉窓口などの業務を行う会社です。現在、賃貸不動産にお住いの方になじみがあるのは、こちらの「賃貸運営管理会社」の方であるかと思います。

2 マンション管理会社の変更について

例えば、マンションの管理が行き届いていない、管理費が高額である、会計処理が不透明であるなどの理由で、マンションの管理会社の変更を検討される方もいらっしゃると思います。

マンション管理会社は、マンション管理組合から委託を受けている関係にあるため、管理会社との契約当事者は区分所有者個人ではなく、管理組合です。したがって、個人的に管理会社を変更したいと思っても、当然に管理会社を変更することはできません。マンション管理会社の変更は、管理組合の総会によって決定することとされています。決議には普通決議、すなわち「議決権の半数以上の出席で、出席者の過半数」の賛成が必要です。

例えば、総戸数が20戸のマンションだと、10戸以上の区分所有者が、普通決議に出席し、6戸以上の区分所有者が管理組合変更に賛成する必要があります。

そこで、まずは、管理組合の理事会、総会などで、管理会社の変更について、区分所有者の意思統一を図る必要があります。「清掃が行き届いていない」「担当者の態度が悪い」などが管理会社を変更したい理由の場合、感じ方は個人それぞれ異なりますので、区分所有者の合意を得るのは難しいかもしれません。

また、マンションの管理会社は、マンションが新築分譲された時から変更されていないことが多く、「多少管理費が高くても、マンションのことをよく分かっている会社に管理はお願いしたい」と考える区分所有者も一定数いるのが実情です。

このため、管理会社を変更したいと考える場合には、現行の管理会社ではどのような不利益があるのかについて、できるだけ客観的・具体的に、各区分所有者に対して広報することが大切です。

また、どこも管理会社がいない空白の状態は、マンションの価値を著しく低下させるおそれがありますので、新しい管理会社の選定作業についても、並行して行うことが必要です。恣意的な管理会社の変更という印象を避けるためにも、複数の業者から見積もりをとり、区分所有者に広く意見を募って、選考過程をガラス張りにした上で、新しい業者を決定することが望ましいです。

3 賃貸運営管理会社の変更について

賃貸用不動産を所有している方でも、入居者の募集、建物の管理、入居者との対応のすべての管理を自ら行うのではなく、多くの大家さんは、管理会社に賃貸運営について、管理を依頼しているのではないでしょうか。

空室率が高い、入居者対応に問題がある、などの理由で管理会社との契約を解除、または中途解約し、新しい管理会社と契約をしたい場合には、まずは、現行の管理会社との間の契約書において、契約解除または中途解約が可能であるかを確認する必要があります。

特に、管理会社を変更したい理由が、例えば「管理費が高い」など、特段、管理会社に契約違反の事実がない場合、契約を中途解約することになりますが、契約書で「契約期間内の中途解約はできない」と定められていることもあります。とはいえ、中途解約ができないと規定されている場合でも、管理会社との交渉次第では、解決金を支払うなどの方法で、合意解約ができる場合もありますので、まずは交渉をしてみるとよいでしょう。

また、契約の更新をしたくないと思っていても、定められた期間中に契約の更新をしない旨を通知しないと、自動的に契約が更新されるという条項が定められていることもありますので、注意が必要です。

建物賃貸借契約期間中に、管理会社を変更する場合には、賃料の入金先や、問い合わせ窓口が変更になるなど、賃借人への影響も少なくありません。管理会社変更前に、賃借人に賃貸人名義で、管理会社変更について説明をしておくことが、賃借人とのより良い信頼関係の継続には大切です。

なお、賃借人の方が、賃貸運営管理会社を変更したいと思っても、あくまで契約当事者は大家さんと管理会社ですので、賃借人には、管理会社変更について、特に何かの権利があるわけではありません。とはいえ、管理会社の対応などがあまりに悪いと思うようでしたら、直接大家さんに話をしてもいいかもしれません。

以上

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