コラム

裁判所から訴状が届きました ~不動産明渡編~不動産賃貸借 2016.11.28

家に郵便局の人がやってきたので、対応すると、裁判所からの手紙を渡されました。中を開けてみると、「訴状」や「証拠」、「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告書」が出てきました。これはいったい何なのでしょうか。そしてこれからどうすれば良いのでしょうか。

ここでは、3か月間、家賃の滞納をしていたAさんが、大家さんに訴えられた場面を想定して、裁判手続きの流れをご説明いたします。

1 「訴状」とは何ですか?

「訴状」とは、民事裁判を起こす際に原告(裁判を起こす人)が、誰を相手に、どんな判決を求めるのかということと、それを裏付ける事実が記載された書面です。Aさんが受け取った訴状には、原告である大家さんが、被告であるAさんを相手に、3か月間の家賃の滞納を理由に、賃貸借契約の解除と建物の明け渡しを求めるという内容が書かれているはずです。

なお、Aさんは「被告」とされますが、これは単に「訴えらえた人」という程度の意味しかなく、刑事事件の「被告(人)」とは全く異なります。したがって、「被告」とされているからといって、Aさんが大家さんから犯罪者扱いされているというわけではありません。

2 決められた裁判期日には行かなくてはなりませんか?

裁判所からの封筒には、「訴状」と合わせて「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告書」が入っています。「口頭弁論期日」とは、第1回の裁判が開かれる期日のことで、Aさんの都合には関係なく決められ、また、日程を変更することはできません。

しかし、裁判は平日の日中に開かれるため、仕事の都合などで、どうしても出席(民事訴訟上は「出頭」といいますが、これも警察に「出頭」する場合とは異なり、Aさんを犯罪者扱いしているわけではありません)できない場合、Aさんはどのようにしたら良いでしょうか。この場合、Aさんは訴状の内容に対して、自分の言い分を記載した「答弁書」を裁判所に提出することで、口頭弁論期日の出席に変えることができます(民事訴訟法158条参照)。ただし、第2回以降の口頭弁論期日は、Aさんの都合を聞いて決められるため、必ず出頭しなくてはなりません。

ここで、注意が必要なのは、たとえ訴状に書いてある大家さんの言い分がデタラメであったとしても、これを無視し、裁判所にもいかなければ、答弁書も提出しないということは絶対にダメだということです。民事訴訟法上、訴状を受け取っていながら、答弁書も出さずに裁判を欠席することは、原告の言い分を認めたものとみなされ、裁判に負けてしまうことになるからです(民事訴訟法159条3項参照)。

3 答弁書には何を書いたら良いのですか?

「答弁書」には、大家さんの言い分に対するAさんの反論を書きましょう。例えば、「家賃はすでに払っている」「家賃の支払い日を延長する約束をした」「家賃を支払わないのは、大家さんが部屋の雨漏りを直してくれないからだ」など、Aさんにも家賃を支払わない言い分があれば、それを記載してください。

4 裁判はどのように進められるのですか?

裁判は、口頭弁論期日ごとに、お互いの言い分を書面にして出し合う形で進みます。口頭弁論期日は、だいたい1か月に1回くらいのペースで開かれます。口頭弁論は、テレビドラマで見るような法廷で行われますが、場合によっては、「争点の整理をする必要がある」として、弁論準備期日として、小さい会議室のようなところで行われることもあります。

お互いの言い分は、裁判期日の1週間前までを目安に、書面にした形で裁判所に提出します。また、言い分を裏付ける証拠があれば、それも合わせて提出します。

裁判が終わるまでの期間は、ケースによって異なります。Aさんが家賃を支払わないことにある程度の理由があり、争点が複雑な案件の場合には、第1回の期日から判決まで1年以上かかることも珍しくありませんが、そうでない場合には、3か月から半年程度で判決が出ることもあります。

5 裁判に負けたらどうなりますか?

Aさんが裁判に負けた場合、すなわち、Aさんに建物を明け渡すように命じる判決が出て、これに不服がある場合、Aさんは高等裁判所に控訴することができます。

しかし、控訴をしない場合には、判決が確定しますので、Aさんは建物から出ていかなくてはなりません。仮に、Aさんが任意に出ていかない場合でも、最終的には強制的に建物から出されてしまいます。

6 どうしたら出ていかないで済みますか?

Aさんにはお金がなく、出ていく先もない場合、どのようにしたら良いでしょうか。残念ながら、「お金がない」という理由では、大家さんとの裁判に勝つことは難しいでしょう。

したがって、裁判の場で、「滞納している家賃は分割で支払うから、明け渡しを待ってほしい」というような和解を、大家さんに提案してみるべきでしょう。

7 弁護士を頼まないといけませんか?

裁判になったからといって、必ず弁護士をつけなければならないわけではありません。裁判の手続きは個人でも対応可能です。しかし、大家さん側に弁護士がついている場合や、争点が複雑化している場合、平日に裁判所に行くことがどうしてもできない場合などには、弁護士に相談された方が、スムーズに解決することが期待できます。

以上

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