コラム

亡夫名義の家だけは残したいんです① ~相続放棄と不動産~相続 2017.01.18

Aさんの夫であるBさんは、多額の借金を遺して亡くなりました。とてもAさんが支払いきれる金額ではないので、Aさんは相続放棄をしようと考えています。しかし、AさんはBさんと住んでいたBさん名義の土地建物からは出ていきたくありません。

相続放棄をしたら、Aさんは建物に住み続けることはできないのでしょうか。

1 相続放棄とは

相続放棄とは、「その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとする(民法939条)」効力がある手続きであり、相続放棄を行うと、亡くなった方のプラスの財産もマイナスの財産も引き継がないことになります。多くは、亡くなった人が多額の借金などを遺したまま亡くなった場合に利用されます。

2 相続放棄後の不動産はどうなるのか

それではAさんの場合、相続放棄をしたら、Bさん名義の土地建物はどうなるでしょうか。まず、Aさんに子どもであるCさんがいる場合、Cさんが土地建物を全部相続することになります。とはいえ、Cさんも、Bさんの多額の債務を相続するのは嫌がるかもしれません。そこで、CさんもBさんの遺産について、相続放棄をした場合、次はCさんの両親に、Cさんの両親も相続放棄をしたら(またはCさんの両親が亡くなっていた場合)、Cさんの兄弟に相続する権利が移ることになります。仮に、誰かBさんの遺産を相続するという人がいた場合には、Aさんは、その人との間で、土地建物に住み続けるための交渉を行うことになるでしょう。

しかし、相続人がすべて相続放棄を行い、誰もBさんの遺産を相続する人がいなくなった場合には、どうなるでしょうか。

3 相続財産管理人の選任

相続人がいない場合には、裁判所が利害関係人または検察官の請求によって、相続財産管理人を選任することになります(民法952条)。そして、相続財産管理人がBさんの財産を調査し、債権者に配当を行うことになります。相続財産管理人は家庭裁判所に申し立てを行うことによって選任されることがほとんどであり、被相続人(Bさん)の債権者である金融機関などが、債権を一部でも回収するために申し立てを行うことが多いようです。この場合、相続財産管理人により、Bさんの土地建物が売却され、売却代金を債権者に配分することになるでしょう。

ただし、Bさん名義の土地建物には、多数の債権者からの抵当権が設定されていたり、税金を滞納しているとして差押がなされていたりすると思われます。この場合には、Bさん名義の土地建物は競売にかけられることになります。

また、相続財産管理人が選任されるまでの間は、相続財産の管理は相続人が行わなくてはなりません(民法940条)。例えば、庭の木の枝が道路に大きくせり出してしまっている場合などには、相続人が手入れを行う必要があります。


このように、Aさんが相続放棄をした場合には、Bさん名義の土地建物に住み続けることは難しくなります。

それでは、何とかAさんがBさん名義の土地建物に住み続けることはできないでしょうか。次項では、限定承認と先買権の行使についてご説明します。

以上

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