コラム

離婚と不動産 ~財産分与の問題点~離婚 2017.03.01

専業主婦のAさんは、夫と離婚することを考えています。夫も離婚には同意し、現在、財産分与について話し合いをしています。しかし、夫名義のマンションをどう分けるかで、話し合いがこう着しています。

1 財産分与の基本的な考え方

財産分与とは、夫婦が婚姻中に有していた実質上共同の財産を清算分配し、かつ、離婚後における一方の当事者の生計の維持を図ることを目的とするものであるが、離婚による慰謝料を含めることもできるとされています(民法768条)。すなわち、財産分与とは、結婚期間中に形成した夫婦共同の財産を清算すると同時に、離婚した一方の生計の維持や慰謝料も含めて、離婚時に相手方に金銭を渡すことであると言えます。

2 清算的財産分与とは

清算的財産分与とは、結婚期間中に形成した夫婦共有の財産を、その貢献に応じた割合で分配する財産分与のことです。簡単に言うと、結婚している間に二人で作った財産は、夫婦共有のものとして2人で分けましょう、というものです。また、ここで言う夫婦共有の財産というのは、名義は関係ありませんので、夫名義の財産であっても、結婚している期間中にできた財産は、妻も財産分与を求めることができます。分ける割合としては、半々とすることが一般的です。

したがって、例えば、結婚前には夫には預金が10万円しかなかったけれど、離婚を前提に別居を始めたときには、夫の預金は200万円になっていたという場合には、妻は結婚している間に増えた190万円は夫婦共有の財産であるとして、190万円の半分の95万円について、夫に対し、財産分与として支払を求めることができます。

3 不動産を分与する場合

それでは不動産を分与する場合、どのようにしたら良いでしょうか。一概に不動産を財産分与するといっても、夫婦の状況に応じて、たくさんのケースがあります。そこでまず、住宅ローンの返済が終わっている不動産の分け方について、考えてみましょう。

①不動産を売却することを前提とした場合

不動産を売却して、得られた利益を夫婦で按分することが最も合理的です。

②不動産に住み続けることを前提とした場合

それでは、子どもの養育環境を変えたくないなどの理由から、離婚後も現在の住居に住み続けたい場合は、どうしたらよいでしょうか。結婚している期間中に、夫名義でマンションを購入した場合で考えてみましょう。

ア 不動産を夫婦どちらかの単独所有とする場合

結婚している期間中に購入した自宅マンションについては、名義はどうあれ、その持分は夫と妻の2分の1ずつの共有であるとされるのが一般的です。したがって、妻が引き続き、この家に住み続けたい場合には、夫のマンションに対する持分について、財産分与を受けることが考えられます。

例えば、マンションの評価が4000万円の場合、妻は、夫からマンションの持分相当額である2000万円について、財産分与を受けることになります。しかし、マンション以外の夫婦の財産が、例えばあとは預貯金が100万円あるだけという場合、夫婦の共有財産の合計額は4100万円、これを按分した夫婦それぞれの取り分は2050万円であると考えられます。それにもかかわらず、妻が4000万円のマンションを財産分与によって取得するとなると、夫は預貯金の100万円しか得られず、不公平な結果となります。

そこでこの場合、妻は、夫の取り分である2050万円から100万円を引いた金額である1950万円を、夫に支払わなくてはならなくなります。これで初めて、夫婦が2050万円ずつ取得したことになるのです。

イ 不動産を共有のままにする場合

上記アの方法では妻が、自宅マンションを取得したのはいいけれど、生活に必要な現金がない状態になってしまうことになります。そこで、自宅マンションの持分を夫婦の共有にしたままで、妻がマンションに住み続ける場合について考えてみましょう。

マンションを共有とした場合、夫婦双方が、自らの持分に応じたマンションの使用をすることができます。しかし、マンションを妻のみが使用し、夫の使用ができない場合、夫は妻に、持分に応じたマンションの賃料相当額の請求をすることができます(最判平成12年4月7日判時一七一三・五〇)。

このケースで、マンションの賃料が月10万円とした場合、夫はマンションに2分の1の権利を持っていますから、夫は妻に対して、月5万円の賃料相当額を請求できるのです。

例えば、夫が妻に対し、別途子どもの養育費として、月5万円を支払うことを約束していた場合、理屈上、双方、1円も入らないことになります。妻の立場で考えてみれば、家に住み続ける代わりに、養育費相当額の支払がないことになりますので、必ずしもメリットのある話ではないかもしれません。


財産分与と不動産の関係は非常に複雑で、上記の設例の他にも、さらに住宅ローンが残っている不動産の場合、①不動産の評価額よりもローンの方が多い、いわゆるオーバーローンの場合にはどうするのか、②妻が自宅に住み続ける場合、ローンの名義人を夫から妻に変更できるか、③妻がローンの連帯保証人になっていた場合にはどうするのか、などと、解決しなくてはならない問題は山積みです。

また、財産分与は離婚の原因を作った方、すなわち有責配偶者にも認められる権利なので、例えば、「自分が浮気をして離婚することになったのに、財産分与はしっかり要求するのか」と、感情的に不愉快になることもあるかもしれません。

このため、夫婦双方が納得できる解決を目指すには、弁護士などの第三者を交えて、冷静な協議を行うべきでしょう。

以上

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