コラム

雨漏りがするから家賃を払わないと言われました不動産賃貸借 2017.12.1

Aさんは自らが所有する居住用建物を、Bさんに貸しています。しかし、Bさんは、建物から雨漏りがするからといって、一向に家賃を払ってくれません。Aさんはどのように対応したら良いでしょうか。

1 建物で雨漏りがする場合の法律関係

借りている建物で雨漏りがする場合、修理は大家さんと建物を借りている人、どちらがしなくてはならないでしょうか。

賃貸借契約は、自分の物を貸す代わりに、賃貸料を取るものですから、貸すべきものは、賃貸料に見合うものでなければなりません。したがって、物を貸す人は、貸す物が賃貸料に見合うように、維持管理をする必要があります。これを、貸主の修繕義務といいます(民法606条1項)。

設例の場合、雨漏りがする建物は、居住用として問題ないとは言えませんので、大家さんであるAさんが修理をしなくてはなりません。

2 修理をしなかった場合の法律関係

設例の場合を見てみると、Bさんは「雨漏りがする」ことを理由に、家賃の全額を支払っていないようです。Bさんの対応は正しいものでしょうか。

この点、賃料は、物を使用する対価ですから、物の使用が妨げられている時には、民法533条の同時履行の抗弁権(「どうじりこうのこうべんけん」。契約当事者がお互いに義務を負っている場合(設例の場合、Aさんは建物を修理する義務、Bさんは家賃を支払う義務)、一方が自ら負っている義務を履行しない場合、もう一方も自らの義務の履行を拒むことができること)を適用し、賃料を支払わなくても良いと考えられています。したがって、設例の場合、「雨漏りがするから家賃を払わない」というBさんの言い分は、正しいといえます。

しかし、Bさんは家賃の「全額」を支払わないとしていますが、これは問題です。というのも、通常、雨漏りは天井の一部分から水が垂れてくるものであり、影響があるのは部屋のごく一部であると言えます。部屋で雨漏りがすることは不便ではありますが、だからといって建物に一切住めなくなるわけではありません。

したがって、Bさんは雨漏りがするとはいえ、部屋を使うことができているのですから、その分の家賃は払わなくてはなりません。つまり、Bさんは家賃の「全額」を支払わなくてよいわけではなく、自らの使用に応じた金額は支払わなくてはならないのです。

それではBさんは具体的にいくら家賃を支払わなくてはならないのでしょうか。この点、雨漏りの影響を受けずに建物を使用できている部分と、雨漏りのために建物の使用ができない部分の割合を計算し、建物を使用できている部分の割合に応じた家賃を、Aさんに支払わなくてはならないと考えられます。

3 Aさんが取るべき対応

それでは設例の場合、Aさんはどのような対応を取るべきでしょうか。まず、建物を調査して、雨漏りがすることが事実であれば、きちんと修理をしなくてはなりません。その上で、雨漏りによってBさんの賃料減額が認められるのはどの程度かを検討し、減額が認められない部分の未払賃料の請求を行うべきであるといえます。

4 Bさんが自分で雨漏りを修理していた場合

設例の場合とは若干異なりますが、Bさんが自分で雨漏りを修理していた場合、どうなるでしょうか。

この場合、BさんはAさんに対して、修理費用全額を請求することができます(民法608条1項)。また、Aさんがこれに応じない場合には、Bさんは家賃の支払と相殺することもできます。

以上

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