コラム

隣の空き家が荒れ放題!相続 2018.07.26

Aさんの隣の家には、以前は高齢のBさんがひとりで住んでいましたが、Bさんが亡くなってからは荒れ放題で、いわゆるゴミ屋敷になっているようです。また、Bさんの家の庭の木が、塀を乗り越えてAさんの家の敷地まで入り込んでいます。Bさんの家はBさんの家族が相続したと思うので、AさんはBさんの家の登記簿を取ってみましたが、名義はBさんのままになっています。

1 所有者不明不動産とは?

不動産登記簿などを調べても、所有者がすぐには分からない、または所有者と連絡がつかない不動産のことを、一般に「所有者不明不動産」と言われています。しかし、不動産の所有権は放棄することができません。それでは、なぜ、所有者不明不動産が出てくるのでしょうか。

Bさんの場合で考えてみましょう。

AさんとBさんはお隣さんでしたが、世間話をする程度で、家族構成などは詳しく知りません。まず、Bさんの不動産を誰が相続したかを知るには、Aさんはどうしたらいいのでしょうか。

全くの赤の他人であるAさんが個人でBさんの戸籍を取ることはできません。しかし、戸籍は職務上の必要があれば、弁護士が個人の戸籍を取得することはできます。したがって、Aさんは、「近隣トラブルの解決のため、隣の家の所有者を明らかにする必要がある」として、弁護士に依頼をすることで、Bさんの家族構成、すなわち相続人が誰であるかを調べることができます。

調査の結果、Bさんの配偶者はすでになく、子が1人いましたが、その子CさんはBさんの相続について、相続放棄をしたようですが、Cさんにも子Dさん、すなわちBさんの孫がいます。またBさんの両親はすでに死亡していますが、Bさんの兄弟姉妹は5人(Eさん、Fさん、Gさん、Hさん、Iさん)います。しかし、兄弟姉妹のうち、EさんとFさんはすでに死亡して、それぞれ子が2人(Eさんの子であるJさん、Kさん)(Fさんの子であるLさん、Mさん)ずついるようです。

Bさんの家族構成
Bさんの家族構成図

2 所有者不明不動産が発生する理由

モデルケースの場合、誰がBさんの相続人でしょうか。

Bさんの場合、子であるCさんが相続放棄をしているので、Bさんの兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹のうち、亡くなっている人がいる場合は、その兄弟姉妹の子が相続人となります。つまり、Bさんの場合、Jさん、Kさん、Lさん、Mさん、Gさん、Hさん、Iさんの、合計7人がBさんの相続人です。

Aさんは、Bさんの7人の相続人の連絡先を調べて、Bさんの自宅だった不動産をどうにかしてくれと話をしなくてはならないのです。

これは非常に骨の折れる作業です。また、先述のとおり、Bさんの相続人を調べるには弁護士に依頼しなくてはならないので、費用もかかります。

さらに、AさんがどうにかBさんの相続人である7人と話をしても、7人の話がまとまらなくては、Bさんの自宅の手入れは期待できません。

つまり、Aさんにとって、Bさんの相続人と交渉することは非常に手間がかかる割に、隣のゴミ屋敷状態は改善されないかもしれないのです。Aさんとしても、あまり効果がないのであれば、わざわざ弁護士に依頼してまで、Bさんの相続人を探し出すのは馬鹿らしくなってしまうのは当然でしょう。

このようにして、「所有者不明不動産」が発生していくのです。

3 法整備の必要性

「所有者不明不動産」が発生する原因のひとつには、不動産における相続登記が義務化されていないことが挙げられます。つまり、現在の法律では、誰かが亡くなったとしても、故人名義の不動産については名義変更をせず、そのまま放置をしておいても特段罰則などがないのです。

また、不動産の登記は、売買や賃貸借を行う場合や、銀行からお金を借りるために抵当権を付ける場合などには必須ですが、そうではない場合、例えば離れて住む親戚から活用のしようがない不動産を相続した場合などには、相続の登記をしなくても、特段困ることもないのが現状です。したがって、あえて費用を払ってまで登記をするモチベーションもないのも当然といえるかもしれません。

このため、現在、相続登記を義務化する法整備が検討されています。

しかし、Aさんの場合、Bさんの家を7人が相続したことが分かったところで、問題は解決されるでしょうか。Bさんの家を相続した7人の間で、誰がBさんの自宅を手入れするか、費用の負担はどうするか、そもそも今後、Bさんの自宅はどうするか、売ってしまうのか人に貸すのかなどの話し合いがなされなくてはなりません。しかし、7人もの意見をまとめるのは簡単なことではないでしょう。また、Bさんの自宅のように、買い手や借り手がつく可能性がある不動産ならばまだ良いかもしれませんが、山林など、活用しようがないような不動産の場合、相続人の話し合いは一向に進まないかもしれません。

つまり、Aさんの場合も、仮にBさんの相続人がはっきりしたところで、問題が解決しないおそれも大きいのです。

相続登記を義務化すれば、「所有者不明状態」は解消されますが、その背後にある問題の根本的な解決には繋がらないといえるでしょう。

以上

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