コラム

サブリース契約についての補足説明不動産賃貸借 2019.03.29

平成31年3月23日(土)に、BSテレ東「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」に出演いたしました。

その際、サブリース契約について解説をしたのですが、時間や構成の都合上、そして私が生放送の緊張感に耐え切れなかったため、きちんと伝えられなかった点も多くありましたので、サブリース契約について、補足的にご説明いたします。

◇ サブリースとは

オーナーが貸主、サブリース会社が借主かつ転貸人、実際の居住者が転借人となっているもので、オーナーとサブリース会社との関係は建物賃貸借、サブリース会社と居住者との関係は建物転貸借契約となっています。

◇ サブリース契約の問題点

◆ 借地借家法の関係

オーナーとサブリース会社の関係は、法的には建物賃貸借契約となりますので、「借地借家法」が適用されます。

借地借家法とは、建物所有目的の土地賃貸借または建物賃貸借の場合に適用される特別法です。賃貸不動産は、借主にとって多くの場合、生活の営業の拠点となっています。他方で貸主は、「自分では使わないから人に貸す」のであり、賃貸不動産が自分の生活や営業活動に不可欠とまでは言えません。したがって、借主の生活や営業の拠点を、貸主が簡単に奪うことができないよう、借地借家法では借主の保護に重点が置かれています。

例えば不動産会社に管理などを委託している大家さんと、大学を卒業して初めて一人暮らしをする新社会人である借主とでは、やはり新社会人の借主の方が社会経験にも乏しい弱い立場であり、法律上、保護する必要があるというのは理解しやすいのではないかと思います。

しかし、ことサブリースとして考えてみると、弱い立場であるはずの「借主」はサブリース会社であり、いわばサブリースのプロです。サブリース会社の持つ情報量や交渉力は、一個人である大家さんとは比べてものになりません。したがって、サブリース会社は、実質的には「弱者」ではなく、むしろ「強者」であるにもかかわらず、法律上は「借主=弱者」として、借地借家法で保護されるという関係に立つのです。

つまり、ただでさえサブリースのプロであるサブリース会社は、「弱者」として、さらに法律で保護されるというアドバンテージも持っているのです。

しかし、実際にサブリース契約において、情報量や経験に劣るのは大家さんの側です。つまり、本来は「弱者」であるはずの大家さんが「強者」として、「強者」であるはずのサブリース会社が「弱者」とされる、いわばゆがみの現象が起きているのです。この点に、サブリース契約の難しさがあります。

サブリース契約に借地借家法が適用されることで、貸主である大家さんとしては、①貸主からの契約解除が著しく制限される、②契約書で借主に不利益な条項は無効とされる可能性があることに注意が必要です。

◆ 消費者契約法の関係

消費者契約法には、消費者が契約について勧誘された際に、①重要事項 について事実と異なることを告げられたこと、②将来の変動が不確実な事項について断定的判断が提供されたこと、③重要事項について不利益となる事実が告げられなかったこと、④勧誘の場所から事業者が退去しないまたは自らの退去を妨げられたことの事情がある場合には、契約を取り消すことができる旨、定められています。

サブリースの場合、サブリース会社の営業マンから、「家賃は30年間、同じ金額が支払われ続けます」などという説明を受けることがあります。しかし、実際には30年間、同じ家賃が支払われ続けることは、まずありません。

そこで、大家さんは消費者契約法に基づいて、サブリース契約を取り消すことができるでしょうか。

この点、不動産投資家として「事業者」の立場にあると考えられています。このため、サブリース契約には消費者契約法が適用されないことが原則です。

◆ まとめ

このように、大家さんはサブリース契約においては、不動産の素人である一個人ではなく「サブリース会社と同等の情報や交渉力を持つ、不動産のプロである貸主」として位置づけられています。このため、特段、法的に大家さんの保護がされるわけではなく、むしろ借地借家法で借主であるサブリース会社の保護がなされているのです。

◇ 賃料減額との関係

サブリース契約の大きな謳い文句のひとつに、「30年間家賃保証」などと、長期間の家賃収入があるというものがありますが、この家賃の金額については、「2年経過後に見直すことができる」などと契約書に規定されていることが多くあります。この家賃保証の問題点にはどのようなものがあるでしょうか。

◆ 賃料の見直しについて

例えば30年間家賃保証と契約では記載されているにもかかわらず、賃料の見直しをすることに問題はないのでしょうか。

これについては借地借家法で、「賃料増減額請求権」が認められており、契約期間中に、固定資産税等の負担が増減したり、地価や建物の価格が増減するなど、経済事情が変動したり、付近の同種建物の賃料と比較しても大きな開きが出てきたりした場合には、賃料の増減額が請求できるという規定です。

したがって、契約期間中に賃料の見直しがなされること自体には、特段問題はありません。むしろ、「30年間、一切賃料の見直しを行わない」という契約書の文言は、借主に不利益なものであるとして、借地借家法によって無効になるおそれがあります。

しかし、「賃料の見直しをすることができる」という条項である場合、本来ならば、あくまで貸主・借主の合意によって、賃料を減額するか否か、減額するならばいくらに減額するのかが決定されるべきです。借地借家法でも、合意が成立しない場合には、借主は従前の賃料を支払わなくてはならないとされています(ただし賃料の減額が認められた場合には、後から清算をしなくてはなりません)。

つまり、大家さんはサブリース会社から賃料の減額を求められても、サブリース会社の言いなりになって、直ちにこれに従う必要はありません。まずはきちんと話し合いを行い、それが難しいのであれば、調停などを利用するべきなのです。また、賃料減額請求をされた場合でも、最終的な賃料額は不動産鑑定士による鑑定によって決定されるべきで、必ずしもサブリース会社の求める賃料額が適正というわけではありません。したがって、大家さんとしては争う余地は十分にあるといえます。

しかし、サブリース会社から「賃料減額が認められなければ解約する」などと言われると、大家さんとしては、サブリース会社の言うとおりに、賃料減額に応じてしまうこともあるようです。

◇ 中途解約の関係

◆ 中途解約の可否

一般に不動産賃貸借契約では、借主からの契約の解約は比較的自由にできるにもかかわらず、貸主からの解約は制限されています。つまり、契約期間中に契約を解約したいと思っても、借主に賃料未払いなどの契約違反がなければ、貸主から賃貸借契約の解約することはできません。

契約更新時に、更新をしないとして、契約を終了させることはできますが、この場合、一般的には立退料を支払う必要があります。

このため、サブリース契約では、契約書で貸主からの中途解約を認める旨の条項があるかについて確認しておく必要があります。

また、仮に貸主からの中途解約を認める条項があったとしても、その条項が「借主に不利」として、借地借家法に基づいて無効とされる可能性もあります。したがって、サブリース契約書で、貸主からの中途解約を認める条項があったとしても、実際に貸主からの中途解約が認められた実績があるのかについても、サブリース会社に確認をしておくべきでしょう。

◆ 中途解約後の関係

仮に、貸主からの中途解約が認められた場合、その後の法律関係はどうなるでしょうか。

大家さんとサブリース会社の間の賃貸借契約が両者の合意によって終了した場合、大家さんがそれぞれの居住者と、新たに賃貸借契約を締結しなおす必要があるといえます(なお、この点、大家さんとサブリース会社の賃貸借契約が合意解約された場合でも、居住者は引きつづき建物に居住することができる旨の裁判例がありますが、それでも、賃料の支払方法などについて、居住者と大家さんとの間で新たに契約書を交わす必要はあるといえるでしょう)。

また、その際には、居住者がサブリース会社に差し入れていた敷金の扱いも検討しなくてはなりません。合意解約時に入居者が差し入れ済みの敷金をサブリース会社から引き継げれば良いですが、もし、敷金の引き継ぎが受けられない場合、大家さんが自分で敷金相当額を用意しなくてはならないリスクもあります。

さらに、これまでサブリース会社に依頼していた物件の管理なども、大家さんが自分で行うことになります。

このように、サブリースを解約する場合でも、大家さんにかかる負担は決して軽いものではありません。安易にサブリースを解約しても、大家さんにとっては困ったことになりかねないのです。

以上

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