コラム

民泊のホストになろうと考えています ~民泊代行の落とし穴~民泊 2017.02.10

不動産投資を考えていたAさんは「民泊がオイシイらしい」との情報を聞きつけて、インターネットで知った民泊セミナーに参加してみることにしました。セミナーでは浅草のマンションを「許可物件」として紹介され、収益をシミュレーションした資料も見せられました。また、セミナーを主催した会社が、宿泊者とのやりとりや清掃など、いろいろ面倒な手続きを代行してくれるようです。なんだかとても魅力的に思えるので、Aさんは民泊のホストになってみようと思うのですが…。

1 民泊代行業者とは

民泊用不動産のオーナーに代わって、airbnbなどの民泊サイト上での宿泊者とのやりとりや、建物の清掃、クレーム処理などを一括して請け負う業者のことをいいます。

民泊経営についての煩雑なことを一手に引き受けてくれるので、Aさんのような個人のホストにとっては、とても魅力的に感じる業者です。

2 民泊代行の枠組み

民泊代行業者から提案される民泊経営のスキームの1つとして、民泊用不動産について、民泊代行業者が貸主、ホストが借主として賃貸借契約を締結し、その不動産を民泊として利用するというものがあります。すなわち、真の不動産所有者から代行業者が不動産を借り受け(代行業者が不動産を購入している場合もあります)、さらにホストがこれを代行業者から借り受けるという、転貸借の形式を取っています。

ホストは月々決められた金額を「代行手数料」などの名目で代行業者に支払うことになりますが、上記の枠組みの場合、「代行手数料」は法的には「賃料」となります。

また、民泊代行を開始するに当たっては、初期費用として、広告費や部屋の清掃費などとして、ある程度まとまったお金が請求されることが一般的です。

3 法律上の問題点

現在、民泊サイトで運営されている建物は、ほとんど違法であることは、以前にも当コラムで指摘したとおりです。しかし、代行業者は不動産を「民泊許可物件」として紹介しています。これはどういうことでしょうか。

実は、多くの場合、「民泊許可物件」とは「旅館業法上の許可を得ている」という意味ではありません。単に、「建物を民泊として利用することについて、建物のオーナーの許可を得ている」、すなわち「転貸借について建物所有者から許可を得ている」という意味しかありません。「旅館業法の許可を得ている」わけではないことがほとんどなのです。

したがって、民泊代行業者から「許可物件」として不動産を紹介されたとしても、その不動産はただちに「旅館業法上の許可を得ている」物件とは限らないことに注意が必要です。

旅館業法上の許可を得ていない物件を民泊として利用すると、6月以下の懲役または3万円以下の罰金に処せられるおそれがあり(旅館業法10条)、実際にホストが逮捕されている例も多くあります。

4 ホストが取り得る対応

ところでAさんは代行業者から「民泊許可物件」として紹介された物件のホストになることにしましたが、後から、単に建物を民泊として利用することについての許可を得ているだけであり、旅館業法の許可を得ているわけではないことが判明しました。このままだと警察に逮捕されてしまうおそれがあるので、Aさんは民泊運営から手を引きたいと考えております。この時、Aさんは業者との間の契約を解除できるでしょうか。

消費者契約法では、事業者が消費者に対して、事実と異なることを告げること(不実の告知)、「絶対に儲かりますよ」などと、断定的な判断を告げること(断定的判断の告知)、わざと消費者に不利になることを告知しないこと(故意による不利益事実の不告知)などがあった場合、消費者は契約を取り消すことができると規定されています(消費者契約法4条)。例えば、Aさんが代行業者から、「許可物件だから法的なリスクはありません」などと説明されていたり、旅館業法の許可を得ていないことを隠されていたりした場合、Aさんは消費者契約法に基づいて、代行業者との契約を取り消せ、初期費用などを回収できる余地があるといえそうです。

また、セミナーに参加した際、Aさんが代行業者から収益についてのシミュレーションを提示され、「絶対に儲かりますよ」などと言われていた場合にも、消費者契約法の適用があると言えそうです。

ただし、消費者契約法の適用があるのは、Aさんが「消費者」と言える場合に限られます。Aさんが個人で投資用の建物を何棟も所有していたり、実際に何部屋も民泊として提供していたような場合には、Aさんは不動産投資を事業として行っていると判断され、消費者契約法の適用はされないおそれがありますので、ご注意ください。

5 民泊新法との関係

なお、現在、民泊について、新しく法律を定める行う動きが出ています(ここでは新しく民泊について定める法律について「民泊新法」といいます)。現在判明している民泊新法案では、ホストなどが行政にインターネット上で登録を行うだけで民泊としての提供が可能になりますが、ホストが民泊として貸し出す建物に居住していない「家主不在型」(従来の民泊ビジネスで利用されている不動産の多くがこれに該当します)の民泊の場合、年間提供日数(1年間のうち、民泊として営業してよい日数)が180日以下とされる見通しです。

180日以下しか営業できないとなると、民泊新法上の民泊は、ビジネスとして、うまみはほとんどないと言ってよいでしょう。民泊新法が成立することを前提とした場合でも、不動産投資として民泊ビジネスに参入したい場合には、従来どおり、旅館業法上の許可を得ることが必要といえます。

以上

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